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コツコツと小さなことを積み上げて、大きな結果に変えていく人。
小さなことからコツコツと。
重政が仕事をする上で大切にしていることを聞いてみた。「一つひとつ丁寧に積み上げる几帳面さです。やはりそれが一番大切だと思います」。細胞から産生された抗体の品質をあらゆる角度から検証する。その気の遠くなるような仕事の果てに優れた医薬品が誕生する。そんな重政が目指すのは、“頼りにされる人”だという。「研究所の方々はそれぞれ得意分野を持っています。私の得意分野は、やはり入社以来やってきた肝がんの薬の糖鎖関連の知識や技術です。これに関連した事柄であればどんな質問がきても、しっかりと答えを出せる人でいたいです」。また、重政はこうもいう。「積み上げていくことはもちろん重要なのですが、どうしても一つのことだけに集中しがちなので、視野は広く持っていたいです」。
早く帰った方が夕ご飯。
直近の目標を「携わってきた肝がんの医薬品の承認申請をすること」と語る重政。だが、彼女の毎日は決して仕事一色ではない。「結婚して一年半ですが、家事を手抜きすることで、なんとか仕事との両立はできているかなと思います。夫は同じ会社の鎌倉研究所勤務のため理解もあり、家事は協力し合っています。どちらか早く帰った方が夕飯をつくるルールは結婚当初から続いていますね。休日は小旅行するのが楽しみです。夫が鉄道ファンで、最近は秋田〜青森間を走るJR五能線の観光列車に乗りに行きました。車内で津軽三味線の生演奏があったりと楽しめました」。仕事では高い目標を持ちながら、プライベートでは自分らしく楽しむ。重政はゆっくりと一歩一歩、自分の生き方を形作っている。
思い入れのある薬。
重政は入社以来、肝がんのバイオ医薬品に携わっている。その医薬品は、現在治験まで進んでいる。「治験は製品化前の重要なステージ。順調に進み、申請を経て無事承認されることを祈っています」。この医薬品は、細胞株の選抜から重政がかかわってきた。「入社して1年頃、上司から『一人でやってみて』と初めて任された仕事です。生物研から届いた大量のサンプルを前に、分からないことなどを実験室から先輩に電話をして確認しながら進めたのを覚えています。ようやく分析結果をまとめあげ、上司に『遅くなってしまいましたが』と恐る恐る提出したら、『よくできてますよ』と声をかけていただき、ホっとしたのを今でも覚えています」。
医薬品のその後を左右する仕事。
重政が担当した細胞株の選抜は、開発初期の段階において節目となる重要な仕事だ。「製薬部門からは色々なバリエーションの細胞株由来の抗体が届きます。同じ系列の細胞でも、中の遺伝子を変えるなど、組み合わせもたくさんあり、そのうえ培養法も数種類となると、サンプル数はさらに数倍になります。そこからもっとも安定して効果が高いものを選ぶのです」。重政は丹念に、一つひとつのサンプルを分析し評価を行った。「最終的に選んだ細胞から産生された抗体が、現在は治験薬としてバイアルに入っています。最初にこれを見たときは『ああ、これが』と思いました。私が分析したものが、やっと人に投与される形になったと思うと、感慨もひとしおです」。
想像していなかった仕事。
バイオ医薬品を作りたくて中外製薬を志望した重政。「創薬か製薬部門が希望でしたが、面接のときに『分析はどうですか』と言われたんです。経験がないため最初は躊躇したのですが、これは『自分を買ってもらっている証拠だ』とポジティブに考えて入社を決めました」。重政は、分析に関するバックグランドはなかったが、学生時代に大腸菌を研究していた経験を生かせると考えた。「研究や実験に対するスタンスや基本は応用できますし、何より分析部門は治験薬の品質を検証する意義のある部門だと聞き、興味が湧きました。最初は文献を読んだり、先輩にマンツーマンで教わりながら仕事に取り組んできましたが、一年くらいで独り立ちしました。
緻密な仕事。
重政のもとには、製薬本部で作られた原薬・製剤が届く。これらを分析・評価し、その結果に考察を加えてフィードバックしていく。「ここでは純度や物性のほか、糖鎖の構造についても分析します。糖鎖とは、読んで字の如く糖がくさり状につながったものです。バイオ医薬品や抗体医薬品はタンパク質から構成されていますが、そこに糖鎖が付くことがあります。糖鎖はごく小さな分子ですが、その構造の違いで薬効や代謝に違いが出てくると報告されており、分析においてはポイントのひとつなのです」。ミクロの世界を覗き込む重政には、日々緻密な仕事が要求される。



